
ドキドキ…
何をしたら良いんだろう…?



あれ?どうしたの?



はじめて合奏を任されたんだけど、何をしたら良いかよくわからなくて…



そうなんだね。
合奏にのぞむ前にいくつか考えておくと良いと思うよ。



どんなことを考えればいいかな?



じゃあどんなことを事前に考えるか、一緒に見てみよう。
「さあ、合奏をしよう!」と思っても、いざ指揮台に立つと何から手をつければいいか分からない——そんな経験はありませんか?
合奏の場で指導者が最初につまずきやすいのが、「そもそも今日の合奏で何を達成したいのか」が曖昧なまま始めてしまうことです。目的が定まっていないと、通して演奏してなんとなく終わる、という合奏になりがちです。
この記事では、合奏を始める前にまず整理しておきたい**「合奏の目的」**について解説します。
合奏練習の際に意識しておきたい「3つの目的」
合奏の目的は、バンドの状態や練習の段階によって変わります。大きく分けると、以下の3つです。
この「3つの目的」はそれぞれの段階によって順番に進めることもあれば、同時に進めたり、状況によっては戻ってみたりということもあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
① 譜読みでやるべきことを確認するための合奏
個人練習がまだ十分でない段階、特に初級者の多いバンドなどでは、合奏を「練習方法が正しい方向に進んでいるかを確認する場」として使うことがあります。
この段階では、指導者は演奏の出来よりもどのようなところでつまずいているか、どのように練習していくかを優先してチェックすることが大切です。
人数ごとの練習の難易度について、よく言われるのは
合奏 < セクション練習 < パート練習 < ペア(2人組)練習 < 個人練習
というように人数が少ない練習ほど難易度が高いということです。
なぜかというと、合奏であれば演奏を聞いて判断・指示を出す人が1人いればいいですが、パート練習ではパートの数だけその判断力のある人間が必要、個人練習に至っては全員が自分の演奏について聞いて・判断・改善していかなければなりません。
そのため、実は個人練習には一人ひとりにより高い能力が必要になってきます。
ところが初級バンドや下級生が多いバンドだとそこまでの能力が身についておらず、間違ったまま吹いていたり、適切な個人練習やができていないことがほとんどです。
そこで練習の初期である譜読みの段階で「何を・どのように・どこまで」練習してくるべきなのかを実際の曲を使って伝えていくことが有効になります。
具体的には、以下の点を意識して合奏を進めましょう。
- 音を間違えて覚えていないか
- 誤った音のまま練習してしまうと、癖として定着してしまいます。特に変化記号(♯♭)のついた音には要注意です。
- リズムを間違えていないか
- 個人練習でのリズムの誤りをそのまま持ち込んでいないか?
リズムの間違いは曲の流れに直接影響するので丁寧に確認が必要です。
- 個人練習でのリズムの誤りをそのまま持ち込んでいないか?
- 音型をどう吹くのか理解しているか
- 短い音でもしっかりといい音で鳴らせるようにする、またユニゾンやハーモニーなどでの音程などを判断できるようにするためにということで「すべての音をしっかりと張って、長めに演奏をする」ことでチェックがしやすくなります。
この段階の合奏は曲の指定のテンポ(インテンポ)で演奏してもまだ吹けていないことが多く、成り立たないでしょう。
指定のテンポの50〜60%くらいのテンポで合奏をすると、まだ足りていない演奏力でも成り立つのと同時に聞く力とその情報を処理する能力が追いついてきて、より改善できるようになってくるでしょう。
本来であれば個人練習である程度音が取れてから合奏に臨むのが理想です。
ただ、初期段階の演奏者は「今の自分の演奏が正しい音、正しいリズムや音価で吹けているか」ということに気を使えていないことがほとんどです。
なぜならば音を出すことや運指などで精一杯になってしまってそこまで意識を払うことができないからです。
そこでこの譜読み段階での合奏が有効になってきます。
また、この段階で同じ動きの人同士(同じ声部という)を抜き出して演奏させ、誰と同じ動きになっているのかを確認させておくのも必要でしょう。
譜読みとは楽譜に書いてあることを音にするだけではなく、その曲の構造自体も理解できるようにしたいところです。
もちろん演奏者のレベルが上ってきたら、譜読みは奏者に任せてその後の段階の合奏に移ることが望ましいでしょう。
② 合わせる練習としての合奏
譜読みがある程度できてきたら、次の合奏の目的は「音を合わせること」に移ります。
こちらも中級以上のレベルになるとパート練習などで自分たちで合わせてくることができるようになってきますが、
まだまだ難しいというバンドも多いと思います。
その場合には合奏の場で合わせていったり、今後の練習の指示を出すことが必要になってくるでしょう。
合わせるポイントは
- 縦(音の入りと切り)
- 音程
- 和音
- (可能であれば)音色
といった項目を合わせていきたいところです。
いずれの項目もパートや個人レベルで合わせてきたとしても、合奏として人数が増えてきたときに状態が変わる事も考えられます。
合奏ならではという点で、パートを超えて同じ動き(声部と言ったりする)の人同士で縦があっているか、音程は、和音は、音色はというふうにチェックしていくといいでしょう。
合奏にしてもパート練習や個人練習にしても、練習にかけられる時間によって一番影響を受けやすいのがこの合わせる練習ではないでしょうか。
コンクールなど長い時間をかけて(しかも少ない曲数で)練習できる場合は、この合わせる練習の時間が長くなってくる事が多いですし、逆に練習にかけられる時間が少ないとき、本番までの期間が短いとき、そもそもの練習時間が少ないときには、合わせる練習の時間が少なくなる傾向があります。
少しでも多く表現の練習の時間を割くためにも、できるだけ効率的に合わせる練習をこなしていきたいところです。
日頃からの音程チェックや基礎練習、基礎合奏や音の長さ対する意識によって、合わせる時間の短縮が可能になります。
③ 表現の練習としての合奏
音が揃ってきたら、次はいよいよ音楽としての表現を深める段階です。
指導者・指揮者がどのような演奏をしたいか、ということをできるだけ具体的に伝えていく必要がありますが、
具体性だけでなく、ちょっと抽象的なイメージを共有するのも効果的な場合があります。
具体的な指示の例としては
- 音の強弱(全体的な音量だけではなく、声部ごとやパートごとなど細かく指示を出す場合も)
- フレーズの取り方、フレーズの方向性、重心の位置
- アーティキュレーション
- 音の長さや音型
- 全体的な曲の構成、設計図
などです。
強弱のニュアンス、フレーズの歌わせ方、曲全体の流れを意識した演奏へと発展させていきます。
この段階になると、指導者の「この曲でどんな音楽を作りたいか」というビジョンが問われます。
表現の方向性を言葉でしっかり伝えることが指導者の大切な役割ですが、場合によってはそれぞれが得意な方法で伝えるのもいいでしょう。
イメージを言語化するのが得意な人は言葉で、ピアノが弾ける・楽器が吹ける人は楽器で、歌が得意な人は歌で、と一番伝えやすい方法で伝えるのがいいでしょう。
この章と前の章では順序として「合わせる練習」→「表現の練習」のようになっていますが、実際にはイメージや曲想を考えてから合わせる練習をしたほうがいい場合も多々あります。
あるメロディーのフレーズの音程合わせをしてもなかなか合わなかったのが、フレーズの歌い方を統一しただけで合ってきたり、ある場面の曲想のイメージを統一しただけで息のスピードや音量がそろったり、ということはよくあることです。
そもそも音楽表現のためにさまざまな技術や合わせる能力が必要とされているので、当然のことかもしれません。
ということで、「合わせる練習」と「表現の練習」はしっかりと分けられたものではなく、流動的に順番や優先度が変わってくるものと考えたほうが良いでしょう。
合奏の前に「今日の目的」を決めよう
3つの目的を紹介しましたが、大切なのは「今日の合奏はどの段階を目標にするのか」を事前に自分の中である程度決めておくことです。
同じ1時間の合奏でも、目的が明確かどうかで密度がまったく変わります。また、奏者に対しても「今日は音程とリズムの確認を中心にします」と最初に伝えるだけで、練習の方向性が揃い、無駄な混乱が減ります。
そしてそのために必要なのは「いまバンドがどのような状態なのか」ということを把握しておくことでしょう。
合奏前に把握していた状態と、実際に音を出してみたときに状態やレベルが違うなど、場合によっては合奏の中で目標設定を変更することもあります。
合奏を始める前の5分間、「今日は何のための合奏か」を自分自身に問いかける習慣をつけてみてください。
まとめ
- 合奏の目的は①譜読みの確認・②合わせる練習・③表現の練習の3段階
- バンドの状態に合わせて、今日の合奏がどの段階にあるかを意識する
- 合奏前に目的を決め、奏者にも共有することで練習の質が上がる
次の記事では、合奏本番の前にやっておくべき「事前準備」について詳しく解説します。
スコアの読み方や機材の準備など、具体的な内容を紹介しますのでお楽しみに!


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