
1つの音しか吹いていないのにたくさんの響きが鳴っているってどういうこと…?
よくわからないよ…



あれ、難しい顔してどうしたの?



倍音をもっと聞いて!
って言われたんだけど、よくわからなくて…
調べてみても混乱しちゃったよ。



そっかそっか。
倍音ってよく口にする人もいるけど、よくわからないことも多いよね。
倍音について、一緒に調べてみようか。
- 吹奏楽や楽器を始めてあまり経っていないから知らないことがたくさん!
- 今まで「倍音」という言葉は時々聞いていたけど、ちゃんとした意味は知らなかった…
- 自分の楽器の音色や歌声をもっともっと良くしたい!
- 吹奏楽でもっとサウンドを豊かにしたい!音程を合わせたい!
この記事を読むと
- 倍音についての知識が得られる
- 倍音を意識することによって楽器の音色や歌う際の声質をもっと良くすることができる。
- 吹奏楽やオーケストラ、合唱などの合奏でより豊かなサウンド、響きを作ることができるようになる。
それでは見てみましょう!
倍音(ばいおん)ってなんだろう?
倍音という言葉の意味
倍音(ばいおん)という言葉は音楽をやっている人なら聞いたことがあると思います。
ただ、言葉は知っていてもその意味や仕組みをしっかりと理解している人はあまり多くはないかもしれません。
まずは倍音という言葉の意味を調べてみたいと思います。
ばいおん 倍音 harmonic overtone [英]
基音の振動数に対して整数倍の振動数をもつ上音をいう。
板や膜による上音は倍音を構成しないが、弦の振動によって発生する上音は、だいたい倍音を構成する。(以下略)
新音楽辞典 楽語(音楽之友社)
ちょっと難しいですね…。
ほかの引用も見てみましょう。
一般的に、音は、ひとつの音として聞こえる場合でも、複数の音による複合音からなっている、ということです。「ひとつの音」と思って聞いている中に、さまざまな音が含まれているのです。それらのさまざまな音がどのように含まれているか、によって、音色はつくられます。音色(音質)をつくっているのが「倍音」なのです。
倍音 音・ことば・身体の文化誌 中村明一
つまりひとつの音を鳴らした際に同時に鳴っているさまざまな響きのことを倍音と呼んでいます。
また、上の文章では「上音」という言葉が出てきますが、場合によっては基(もと)となる音の下に鳴ることもあります。
そして
基音の振動数に対して整数倍の振動数をもつ上音をいう。
という一文がありましたが、基音の振動数にたいして整数倍の振動をもつ整数次倍音と
整数倍以外の何かしら不規則な振動により生まれた倍音を非整数次倍音が存在します。
ノイズっぽい音や雑音といわれるものは非整数次倍音のことがほとんどです。
この記事では主に整数次倍音について説明していきたいと思います。
さまざまな場面で活用される倍音の影響
倍音はさまざまな場面に影響を与えています。
楽器や声などにとって、まず倍音が一番影響を与えているのは音色面です。
もとの音に対してどんな倍音が同時に鳴っているのか、またそれぞれの響きがどのくらいの音量なのかによって(倍音構成と言ったりします)、その楽器やその人の声の音質、音色が決まってきます。
その楽器の音色や、その人の声質を決定づけているのが倍音というわけです。
また、倍音はさまざまな楽器の音域を拡大するためにも使われています。
特に吹奏楽でよく使われる管楽器にとっては倍音無しには成り立たないものばかりです。
金管楽器は多くの楽器で基本的にピストンやロータリーが3つ、もしくは4つしかなく、それらを組み合わせて音を変化させますが、同じ指使いのままでも何種類もの音を出すことができます。
これを利用したリップスラーというテクニックは、その指づかいで作られた管の長さで出すことができる倍音と倍音の間を行き来するというもので、これができることによって金管楽器の音域を広げることができます。
また、木管楽器にとってもフルートやオーボエ、サクソフォンなどでは同じ指づかいのまま、オクターブキーと言われるキーを押すことによって1オクターブ上の同じ音を出せることが多いです。
また、管の構造が他の楽器とやや違うクラリネットにいたってはオクターブキーに当たるキー(レジスターキーと呼ばれる)を押すことによって、1オクターブと5度上の音を出すことができます。
これらは実は金管楽器と同様に同じ指のままでも口や息の変化だけで別の倍音の音を出すことができる場合がほとんどですが、その確実性を上げるためや、補助のために上の倍音を吹くためのキーがついていることになります。
倍音はどんな仕組みになっている?
ここまでは倍音がどういうものなのか、実際にどういう働きをしているかという全体像を見てきましたが、
この章では倍音そのものがどのようなものなのかを見ていきたいと思います。
音ってそもそもなんだっけ?
音とはそもそもなんなのでしょう?
すこし難しく表現すると
空気などの圧力の変化が人間の耳などに伝わったとき、それが音として知覚される
倍音 音・ことば・身体の文化誌 中村明一
「空気など」というのはもちろん空気も含みますが、それ以外のもの、管楽器を吹くうえではリードや唇なども含まれます。
また、圧力の変化とは空気や物体が振動していることをあらわします。
つまり、リードや唇、吹き込んだ息などから生まれた振動が人間の耳などに伝わったときに音として感じられる、ということです。
音とは(空気や物体の)振動である
といってもほぼ間違いではないでしょう。
音の高さはなぜ生まれる?
音が振動であるならば、音の高さはどのようにして決まるのか?
それは、振動が速い(多い)か遅いか(少ない)によって変わってきます。
振動が速い(多い)と音として高く聞こえ、
振動が遅い(少ない)と音として低く聞こえます。
音そのものの高さのことを「ピッチ(pitch 英)」と呼び、
1秒間に何回振動したかを表す単位として「Hz(ヘルツ)」が使われます。
現在、国際会議や国際標準化機構(ISO)などでは、中央ハ(ド)のすぐ上の一点イ(ラ)を周波数440Hzと定めています。
日本の吹奏楽の現場やオーケストラでは442〜443Hzが多く使われています。


一点イ(ラ)
440Hzの一点イ(ラ)の音
高さが異なる音同士の周波数の関係
ある音(基音)を鳴らしたときに発生する振動数(周波数)が1だとすると、




1オクターブ上の同じ音を鳴らしたときの振動数(周波数)はちょうど2倍になります。(2倍音)




さらに1オクターブ上の音を鳴らすと、振動数(周波数)は元の音の4倍になります。(4倍音)




また、元の音の3倍の振動数(周波数)に当たる音を鳴らすと、2倍音から完全5度上の音が鳴ります。




このように2つの音の音程はその2つの音同士の振動数(周波数)の比と密接な関係があります。
基音を1として,その2倍,3倍と振動数(周波数)が増えていったときの音を順番に並べると,次のようになります。


この音の並びを倍音列(ばいおんれつ)といいます。
基音(第1倍音),第2倍音,第3倍音と続いていますが,基音の周波数に対して第2倍音は2倍の周波数,第3倍音は3倍の周波数となっています。
ここで注目したいのは,まず第1、第2、第4、第8倍音とそれぞれ倍の数になっていったときに(等比数列)、基音と同じ音(この譜例ではド)のオクターブ関係になっていることです。
つまり振動数が倍の関係を1オクターブと呼ぶようになっています。
また、倍音列の奇数倍音はそれぞれ新しい音が出てきています。
基音(第1倍音)に対して第⚪︎倍音の数字の部分がそのまま振動数の比になっています。
基音(第1倍音)に対しての第2倍音が1:2、第2倍音と第3倍音が2:3といった具合です。
この振動数の比の数字が小さいほど協和しやすい音といえます。
基音(第1倍音)と第2倍音の振動数の比が1:2で1オクターブの関係、




第2倍音と第3倍音が2:3で完全5度の関係




第4倍音と第5倍音が4:5で長3度の関係、というのを見るとお分かりいただけると思います。




振動数が異なる音と倍音の関係
ここまで見てきたのは異なる音程の音の振動数の関係が、倍音列と一致しているという例ですが、
実際の倍音はそれぞれ単独で鳴るものではなく、基本的には基音と同時に鳴っているものです。
つまり基音としてド(C)の音を鳴らした時に、同時に第2倍音である1オクターブ上のドの音、第3倍音であるソの音、第4倍音のド、第5倍音のミ、第6倍音のソ、第7倍音のシ♭、第8倍音のド…といったように基音の上に鳴っています。
その際に上の倍音になるにつれ音量が小さくなり、聞こえづらくなるのが一般的です。


この時の振動の図はこのような状態になっています。


今まで出てきた振動の図が全て重なりあった状態でちょっと複雑にも見えますが、基になる両端の部分では重なりあっている事で、それぞれの音が協和することがわかります。
また、それぞれの倍音の音量の違いなどによって音色が変わって聞こえるのは、前にお伝えした通りです。
倍音と和音の関係
倍音とは基本的には1つの基音(複数の楽器で演奏する場合も含む)から生まれた音に対して生じるものですが、
その生じた倍音と同じ音を他の楽器などで出すと、「和音」になります。
(ピアノなどの場合は一つ一つの鍵盤が別の発音体と考えられます。)
つまり、和音とは倍音の中から協和しやすい音を抜き出したもの、というとらえ方もできるのです。
倍音がわかるとどんなメリットがある?
それでは実際に倍音を理解して、意識できるとどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは倍音がわかることのメリットについて考えていきたいと思います。
楽器の音色が豊かになる
倍音が含まれない音のことを「純音」といいますが、とてもクリアで混じり気のない音色の反面、魅力的とは言い難い音色になります。
「純音」の音色(サイン波)
そこに倍音が加わると、音色に複雑さや深みが生まれてきます。
何の倍音がどのくらいの大きさで追加されるかによって音色が変化していきます。
つまり、音色を良くするための練習とは倍音をどのように出していくかコントロールする練習と言ってもいいかもしれません。
合奏のサウンドが豊かになる
オーケストラや吹奏楽、また、室内楽やアンサンブルなどの小さな編成でも、倍音の与える影響は小さくありません。
一般的に2人以上で演奏したときの音色としては、響きが大きくなりますが、倍音もより増幅される傾向にあります。
そして、倍音の中でもより音量が大きく聞こえるのは低次(数字の小さい)の倍音、つまり基音に近い倍音が聞こえやすくなります。
低次倍音、基音に近い倍音は基音と協和しやすい、つまりハモりやすい音ですから、
ユニゾン(同じ音同士)を演奏していてもハモっている、和音が鳴っているような状態になるということです。
豊かなサウンドに聞こえるのも納得ですよね。
音程が合いやすくなる
音程を合わせようとする際には、お互いの音を聞きながら合わせます。
その時に
細い1本のライン同士をピッタリ重ね合わせようとするのと


太い1本の他にも何本かガイドがある状態で重ね合わせるのでは


どちらが合わせやすいと思いますか?
ちょっと極端な画像ですが、こんなイメージです。
単純に響き同士の音を合わせる、重ね合わせるなら細いよりも太いほうが合わせやすい
また、合わせる基準が1本の響きだけでなく、その上に倍音もあってガイドになればより合わせやすいし、あっていないときの「うなり」も大きくなるので判断がしやすくなる、ということです。
こういったことから、倍音を意識していると音程が合わせやすくなる、と言えるでしょう。
倍音ってなに?倍音の仕組みや倍音を知るメリットまでを徹底解説!のまとめ
音楽をする上で欠かせない倍音との関係、身近に感じられるようになったでしょうか?
今まではあまり意識していなかった倍音も、意識できるようになってくると音楽活動も楽器の音色もより豊かになってきます。
倍音をうまく利用できるようになって、豊かな音楽生活を送れるようになりましょう!





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